「ピボット」成否の分かれ目・天王山の厳しさ

マネジメント

「リーン・スタートアップ」を進めてくなかでの必須項目であり、事業・ビジネスの成功/不成功を大きく分ける「ピボット」について、紹介します。

リーン・スタートアップのフィードバックループ

「リーン・スタートアップ」の手順は、一般に、「構築」→「計測」→「学習」→「構築」・・・というフィードバックループを順調に回すこととされています。しかも、このループをとても高速に回すことを求められます。

「リーン・スタートアップ」のフィードバックループ:「構築」→「計測」→「学習」

今回紹介する「ピボット」は、このループの中の「学習 Learn」の段階で出てきます。

「学習 Learn」の段階では、得られたデータをもとに、ピボットするか忍耐するかを判断します。
つまり、方向転換するのか、このまま変えずに続けるのか、を決めなければなりません。

えいちゃんのヒトコト
えいちゃんのヒトコト

「ピボット」とは、事業を方向転換させること。

バスケットボールをやったことがある人は「ピボット」という言葉を聞いたことがあるはずです。バスケットボールはボールを持ったまま歩いてはいけないルールですが、ボールを持ったまま体の向きを変えるテクニックを「ピボット」と呼びます。まさしくこのイメージです。

「ピボット」は、何を変えるのか。

ビジネスの現場で「ピボット」するときに変えるものは、「仮説」です。

「リーン・スタートアップ」のループでいうと、一番最初にアイデアがあります。
こんなものをつくったら、こんなことをしたら、こういう人たちが喜ぶはずだ、ということを考えて組み立てています。でもこれは、実際に確認をしていないわけですから、「仮説」です。

「リーン・スタートアップ」では、このアイデア=仮説を確かめるために、「製品」をつくって「計測」する、といえます。

ですから、前回立てた「仮説」を変えることを「ピボット」と呼ぶことになります。

超有名! ネット・スタートアップ企業の「ピボット」事例3選

ネットのスタートアップで非常に有名なピボットをした事例を紹介します。

事例:「Instagram」のピボット

当初、「Burbn」という自分の行った場所や現在いる場所を共有するSNSを作りました。
「チェックインアプリ」と分類されるサービスが流行してたくさん出てきた時期がありました。いまも生き残っている事例としては「Foursquare」があげられます。当時ヒットしたサービス・アプリはほとんどなく、「チェックイン」という機能・概念だけはいろいろなアプリに引き継がれていきました。実際に、「Burbn」も消えていきます。

「Burbn」のユーザー行動をみてみたところ、なぜかチェックインではなく「写真」の共有に使われていました。そこで、「チェックイン」から「写真の共有」にピボットして、それをしやすいサービスに改造し、名前も「Instagram」と変えたところ、大ヒットしました。

事例:「YouTube」のピボット

「Tune In Hook Up」は、動画を使ってデート相手を探す、つまり、出会い系サービスでした。
サービス自体はユーザーが思うように増えませんでしたが、ユーザーの行動をみてみると、デートとは関係ない動画をアップして共有する機能が利用されていたため、動画を共有して楽しむサービスにピボットしたところ、大成功しました。

事例:「Slack」のピボット

Stewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)は、「Flickr」を大ヒットさせて米Yahoo!へ売却したあと、自分がもともとやりたかったゲームの事業を立ち上げました。しかし、まったくヒットせず事業は終了することとなります。

しかし、そのゲームを開発するときのコミュニケーション・ツールを自分たちでカスタマイズして開発していました。これを事業化できないかと発想してゲーム開発のチームメンバーを核として始めた事業が「Slack」です。

余談になりますが、実は「Flickr」もゲーム開発からピボットして成功した事例です。

ピボット事例に共通して見える特徴

この他、伝統的な業種・製品にも、行き詰まった事業を方向転換させて大成功した事例がたくさんあります。

ここに共通して見えてくるのは、「リーン・スタートアップ」のフィードバックループにおける「計測 Measure」の段階と、そこで得られたデータ・知見を、先入観を捨てて正直に見つめて、それに従って大胆に変更していることです。

このあたりから、「ピボット」の難しさが見えてきます。

「ピボット」の難しさ、厳しさ

たいていの場合、アイデアを出し仮説を出して、「製品 Product」やサービスを組み立てて開発し、ユーザーに届けることは、非常にたいへんなことです。

それなりの情熱、ポリシー、思い入れがあります。たいていは、それらをすべて投入して製品をつくります。

しかし、つくった製品が思うように広がらない場合、普通は悩乱します。

そのような追いつめられた状況で、顧客・ユーザーの行動を、真摯に正直に見つめて、自分たちが間違っていたことを、はっきりと認めなければなりません。

たいていは、自分以外の複数のメンバーとともに事業を進め、サービスを開発しているわけですから、個人だけでなくチーム全体で考え方を変えて、違うことを始めるのは、本当に難しいことです。
これは、読んだり聞いたりして学ぶこと以上に、実際にはとても難しい作業です。

しかし、成功事例をみればわかるとおり、失敗したときにいかに「ピボット」するかが、成功/不成功を分けることになるのです。

参考記事:ピボット段階説

実際に「ピボット」を考えるにあたり、段階を分けてとてもわかりやすく解説しているページがありましたので、紹介します。

まとめ

「リーン・スタートアップ」のなかで超重要な考え方である「ピボット」について、内容と事例、その難しさを合わせて紹介しました。

お役に立てば幸いです。


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