なぜ企画が必要なのか~企画の効用を3つにまとめ

マネジメント

今回は、ホームページ・Webサイトの制作を依頼されたときを想定して、「企画」をする理由をまとめます。

「作ってくれ」といわれたら、作ればいい。

このブログでは「企画」の重要性や効用を繰り返し訴えています。たとえば、このような記事を出しています。

しかし、たとえば、中小企業の経営者から、「企画してほしい」「戦略を組み立てたい」と言われることはあまりありません。だいたいは、

「えっとさぁ・・・ホームページ、つくりたいんだよね。」

と言われることが普通です。

ですので、「ホームページをつくってほしい」と言われたら、作ればいいのも事実です。素直にストレートにお客様の要望にお答えするのみです。

特に、最近は「リニューアル」の依頼が大半です。つまり、ホームページ・Webサイトはすでに持っていてその修正や更改をすることが普通です。ゼロから始めるケースは少なく、どういう情報を伝えたいかがすでに出ています。実際、スマホが普及する前にできていたホームページを、最新のスマホやパソコンで見やすいようにしてほしい、という依頼が多いのも現実です。

だから、テキトーに作ってしまえば済むのかもしれません。「大げさに企画とか戦略とか言わなくても、つくってほしいだけのお客様はそれで満足するでしょ。」と言われたらそのとおりの部分もあります。

しかし、このブログでは、作る前に企画することを求めます。

なぜ企画するのか:企画することの3つの効用

このブログでは、ページを作り出す前に「企画」を立てて「企画書」を作り、明文化して合意することを求めます。

こうすることで、どういう効用・メリットがあるのかを、3つにまとめます。

企画の効用1)目的が明確になる

企画を考えて企画書にまとめることで、「そもそも」の部分をあらためて考えて、それを目に見える形(企画書)にすることができます。

いろいろなヒトといろいろな場面でヒアリングをしてきた経験からいっても、「そもそも何がしたいのか」あるいは「目的が何なのか」をはっきり言える人は少ないのです。

つまり、そもそもの目的はうまく言えないけど、ホームページでできることはわかっている、あるいは、ホームページを使えば一番いいらしい、ということで依頼することが多いのです。

そもそも何を目指していて、それをどのような段取りで実現するのかを明確にすることは、本当は非常に付加価値が高いのですが、「ホームページ制作」という仕事の枠の中で、ここに高い報酬が支払われることはあまりありません。せいぜい「企画料」などの名目で見積書に1行追加するぐらいが限界でしょう。

なぜなら、目に見えないからです。
企画や戦略は目に見えず、企画書を通してイマージネーションで理解するしかありません。これに対して、できあがったページやWebサイトは目に見えますので、ここに対して対価を払う形が関係者を説得しやすいのです。

ちなみに、この企画やそのための調査、つまり「御社はこのようにすべきですよ。」というアドバイスをするだけで、実行に対して責任を持たない仕事を「コンサルタント」と呼びます。

企画の効用2)戦略が定まり、優先度が決まる

企画とは、コンセプトを立てることであり、戦略を立てることです。

戦略が決まると、優先度が決まります。
つまり、企画書の内容を合意することは、何を優先して、何を捨てるかの判断基準を合意することを意味します。

予算は有限です。使える費用は決まっています。
ヒトや時間は結局おカネで買えますから、「有限の予算をどのように配分するか=優先度=戦略=企画」という構造になっています。

また、この企画をつくるプロセスを通して、お客様のこと、ビジネスそのものやライバルの状況、業界の事情などを深く知ることになります。知らなければ優先度が決められないからです。

企画をロジカルに組み立てることで、論理的に優先度が決まり、やるやらないの判断が半自動的に決まっていきます。

この「判断基準」を合意、共有してからつくることで、次の効用が生まれます。

企画の効用3)手戻りが減る、報酬が増える

お客様の依頼は変化するのが普通です。

自社が変わらなくても、競合や政治、経済など外部環境は変わっていきます。経営書には「朝令暮改」という言葉もあるぐらいで、朝言ったことを夕方変えて、どんどん変化していかなければ生き残れない時代です。

よって、作りはじめてから、変更したいと言われることは日常的にありますし、それをすべて否定してはいけない面もあります。

お客様は作り方を知りません。そもそも作り方をあまり知らないから依頼しているので、「いまそこを変更されたら、ものすごい手間かかります!」ということはあまり理解できません。しかし、お客様からの変更要望が強い場合には、おカネをもらう立場の制作者側は相対的に弱く、なんらかの形で変更に従うのが普通です。

一方、仕事の段取りとして、見積もりをして合意をしてから作り始めるのが普通ですし、お客様の予算は有限ですので、変更したからといってその分費用を多めにください、ということはなかなか通らないのが現実です。つまり、制作者側・作る側がその分を引き取り飲み込むことになることが多いでしょう。

しかし、企画をつくり、戦略を組み立てて、企画書として合意しているなら、変更依頼に対して「反論」や「指導」ができることになります。つまり、「その変更はすべきではない。」ということをロジカルに言うことができます。

時間をかけて組み立てて合意した企画や戦略、その段取りは「朝令暮改」というほどすぐに変えることはできません。

つまり、手戻りや作り直しが激減するのです。生産性が上がります。

見積書に明確に現れる「企画料」に大きな金額をかけられなくとも、見積書に現れない手戻り費用を考えると、結局その対価・報酬が増えることになります。同じ費用に対して働く時間が減るからです。つまり、時給が上がります。

経験的には、企画をつくることによって、2倍から10倍ぐらいの付加価値が出ます。

まとめ

「ホームページをつくってほしい。」と言われただけなのに、一生懸命に企画書をつくる必要があるのかどうか、企画を組み立てて戦略をつくることの効果・効用をまとめました。

お役に立てば幸いです。

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