「スタートアップ・スタジオ」というコンセプトとその可能性

マネジメント

「スタートアップスタジオ」という考え方、コンセプトが出て、じわじわと影響力を広げています。

今回は「スタートアップスタジオ」のコンセプトと可能性について、考えます。

投資家は、起業実績とマネジメント経験がある

投資家は、おカネを持っています。特にネット系事業を対象にしている投資家の場合、そのおカネはネット系の事業を成功させて稼いだケースがほとんどです。

つまり、投資家には単なるビジネスを経営した経験に加えて、大きさには差はあれど事業を成功させて売却やIPOまでもっていった経験、つまり、イグジット経験があることになります。

その間に、投資を募った場合(多くは投資を受けていますが)、起業家~投資家間の関係調整、あるいは、VCなどの投資組織との関係調整も経験済みでしょう。ネット系企業であれば、プログラマーやデザイナーなど異職種の職人集団をマネジメントした経験も当然あるはずです。

そうすると、投資家がスタートアップ企業に投資するときに、かなり手厚いアドバイス、指導ができることになります。投資家が取締役などの形で企業の中に入って仕事をするケースもあります。

起業家が投資家の言うことを聞くとは限らない

ただし、投資家のほうが経験豊富で正しい判断ができそうだとわかっていても、そのアドバイスをいつも聞き入れられるかどうかは別の話しです。

そもそも事業をおこしたのは起業家のほうですし、それに投資したということは、その起業家や事業に可能性を見出したということです。ですから、投資家の意見を100%受け入れる必要はまったくありません。

それに、「経験豊富なヒトの意見が正しいとは限らない」というのが、未来を創る起業の醍醐味とも言えます。

よって、必ずしも投資家の思惑通りに事業が進むわけではありません。

「スタートアップ・スタジオ」登場の背景

でも、投資家がわかるんだったら、もっと直接的にコントロールして新事業をおこせばよいのでは・・・

「スタートアップスタジオ」が発生した背景には、投資家のこのような思いがあります。

もう一つ、企業の中の人材、スタッフのマネジメントから見た側面があります。

スタートアップ企業がうまくいかなくなった場合、個々人の人間関係は残るものの、組織としては解散してしまいます。

この個々人のネットワーク作りが強力な力を持つために、スタートアップ企業は一箇所に集中して存在します。スタートアップ企業を渡り歩く職人はシリコンバレーにたくさんいますし、日本であれば東京、しかももっと狭い範囲、渋谷や六本木にネット系企業が集中しています。

でもそもそも、その職人集団をそのまま生かして、別のプロダクト、別のサービスを作ってもよいわけです。

「せっかくつくりあげたいいチームを全部捨てて一からやり直すのは無駄だよね・・・」

このような発想も、「スタートアップスタジオ」が出てきた背景に流れています。

書籍「STARTUP STUDIO」

書籍「STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団」によれば、その発生は2008年より前にさかのぼるそうです。

「スタートアップスタジオ」は、複数のアイデアを同時多発的にテストして、一定期間でうまくいかないものは捨てて、うまくいくものは育てスピンアウト、つまり、別会社化して一気に成長させます。

リーンスタートアップやデザイン思考、アジャイルなどの考え方が普及するにことにより、ネット系、いわゆるSaaS型のサービスを起業する手法はある程度確立してきました。つまり、どういうアイデアを事業化するときにも、やることは似ていて、必要なスキルも似ているわけです。

であれば、最初からそういうスキルをもったチームをそろえておいて、毎日毎日事業を立ち上げる仕事に集中していれば、投資家経験をもったヒトがマネジメントすることによって、成長企業がいくつも生まれてくるぞ、ということです。

この書籍を監修している「株式会社QUANTUM」

上述の書籍を監修しているのが、「株式会社QUANTUM」という企業です。

quantum
quantumは、創業者の目線でビジョンを描き、顧客を想像し、情熱を持って事業を生み出す、未来のビジネスやプロダクトを創造するスタジオです。

この企業のページを見ていると、スタートアップ企業を次々スピンアウトする、という「スタートアップスタジオ」の事業の、さらに先にある活動が見えてきます。

たとえば、大企業の中にスタートアップをつくることを手伝えます。大企業はその性質上、自力でイノベーションできない状況にほぼ必ず陥ります。その解決手段となれるのです。

スタートアップ企業に対して、投資資金を引いてくることもできます。「有望なスタートアップがあるが足りないところを我々が補うから、出資するといいですよ。」というオファーをムゲに断る投資会社は少ないでしょう。

スタートアップ企業に必要なサービスやツール類を提供する企業の支援も、有利な条件を引いてくることができます。そこではニーズが続々と大量に生まれるわけですから、提供する企業からみれば、優良顧客とつながるチャンスがあるはずです。

実際に、「SUPPORTERS」と紹介されているのは、AWSなどのクラウドサービス、IoTを支援するようなハードウェア関連の企業、オフィス内の環境づくりを支援するフードなど提供するサービスまでが名を連ねています。

まとめ

「スタートアップ・スタジオ」という考え方・コンセプトについて、その事例とともに紹介しました。

お役に立てば幸いです。


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