少人数のオフィスにオススメのネットサービスと、セキュリティなどなどの導入や移行の考え方【起業向】

マネジメント

パソコン周辺のトラブルがなかなか解決しなかったり、ネット関連のサービスでどれをどう使ったらいいのかわからない、という悩みは多いです。

今回は、特に、少人数の会社、起業したばかりのオフィスで、パソコンやネット関連のサービスをどう考えればよいか、オススメのサービスや購入・手配のやりかたについて、紹介します。人数規模は、2~3人から50人ぐらいまでは対応可能な内容です。

知識あるものが、知識のないものから収奪する世界

「知識社会」と呼ばれるようになって久しく、知識の格差・落差、知識の有無の差に対しておカネを払うビジネス・商売がたくさん出てきています。格差だ、収奪だ、というと悪いことのようなイメージですが、そういうわけでもありません。

たとえば、ペンを使うすべての会社がペンを作る技術を持つ必要がないように、知識をわがものとして使えるようになる代わりに、その知識を知らなくても使えるようにしたサービスに対して対価を払うことは、社会の利益にかなっています。「ザ・知識社会」というわけです。

ただし、ペンのように目に見えるものならわかりやすいのですが、ネット関連のサービス、パソコン周辺でのトラブルの多くが、目に見えないものです。直接目に見えないがために、行き過ぎたり、悪用されたりするケースが出続けることになります。

サービスを受ける側の顧客が知識を持たない限り、目に見えないために認識することができず、その知識の落差・高低に対して、費用を払い続ける構造ができます。

このブログでも繰り返し書いていますが、ネットの知識はそれほど体系化されておらず、雑学集合体のような性格があるので、「知っているか/知らないか」の差だけであることが多いのです。

どうせなら、知っている側になって、コスパよく、おカネと手間をかけないで、本業に集中したほうが、事業も早く発展します。

前置きが長くなりましたが、ちょっとした知識を得て、本業に集中するためのコツ、ここ数年の間に実際に現場を見てきた経験から、オススメできるサービスを紹介します。

「G Suite」:どこでも読めるメールと共有カレンダーで生産性アップ!

ビジネスアプリとコラボレーションツール | Google Workspace
Google Workspaceのコラボレーションツールや生産性向上ツールをお試しください。Gmail、Docs、Meetなどのビジネスアプリをご用意しています。

定番すぎて「知ってるよ!」という声が聞こえてきそうですが、最初にオススメするのは「Gmail」です。いろいろなサービスを合体させて「G Suite」と名付けられています。

数人から、千人規模でも十分使えるものになっていると思いました。(管理画面を見た感じでは)

特に、次の機能は、社長も社員もみんなで使うとハッピーになれることウケアイです。

Gmail(メール)

メールの容量や、転送の都合を考えたり、スマホで読む都合を考えたりなど、
メール周りのほとんどすべてのお悩みが、「Gmail」を使うことで解消されます。

おそらくメールはどこかのレンタルサーバについている機能を使っていることが多いと思います。ホームページと電子メールを、それぞれ別の会社のサービスを使うには、設定のノウハウが必要ですが、ぜひ手に入れてください。少し難しいですが、企業をまたがって分けて使うことで、長い目で見ると、リスクが減ったりコストが減ったりすることが多いので、どうせなら、こういう知識を手に入れることがオススメです。

カレンダー

いわゆるグループウェアのカレンダー機能を使ったことがなければ、革命的に感じられると思います。

社員で共有するカレンダーで、ほとんどの現場で生産性は確実にアップしますので、使ってみてください。

Googleドライブ(共有フォルダ・バックアップ機能)

共有フォルダの機能は、選択肢がありすぎるので、別途考えて、あるいは、会社の状況に応じて乗り換えていくのがよいと思います。

「Googleドライブ」は十分な機能をそなえています。

「G Suite」の料金

柔軟な価格プラン オプションの比較 | Google Workspace
Google Workspace ではあらゆる規模のビジネス向けにプランをご用意しています。柔軟な価格オプションの比較をご確認ください。

1人あたり月額600円程度の一番安いライセンスから使うのをオススメします。

1,200円程度のサービスとの違いは、Googleドライブ(ストレージ)に入るデータの容量と、管理機能のようなので、熟慮検討の結果「高いほう」が現場で必要だと明確に確認できた時点で導入したほうがよいです。

「Office365」:お店でパッケージを買うのはもうやめよう

パソコンを買うと、Microsoft Office、つまり、WordやExcelを必ず買っている企業は多いと思います。また、Officeソフトがいっしょについてくるパソコンを必ず買う、と決めているところもあります。

しかし、現時点で、買い切りのライセンス、つまり、従来型のパッケージを買ったり、パソコンについてくるものを買ってお金を余分に払ったりすることは、お勧めしません。

クラウドサービス「Office365」がオススメ

パソコンは、Officeの入っていないものを買ってください。同じ性能でも割安になるでしょう。

そして、クラウドサービスである「Office365」を買ってください。

https://products.office.com/ja-jp/business/office

ネットでクラウドサービスを登録することがどうしてもできない、という場合は、電気屋さんに行くと一応パッケージの形でも売っていますので、最初はこれでもいいのでなんとかして導入することをオススメします。

特に、Microsoft社は「Office365」のほうを推進したいがために、機能や利用メリットを追加し続けています。(ある程度の数が売れてきたら、メリットを減らされる可能性もあるわけですが……)

メリット)パソコンが壊れたときのストレス激減

パソコンが壊れたり、調子が悪くなって、別のパソコンを使いたいとき、Officeに追加の費用を使うことなく、すぐに別のパソコンに入れて動かすことができます。

これが、パソコンのトラブルがあったときのストレスを、おそろしい勢いで減らしてくれます。

買い替えはアップデートしたいときに

いま買い切りライセンスを使っているが、すぐに「Office365」に乗り換えたほうがよいのか、というとそうでもありません。

いまの買い切りのライセンスは、Officeがアップデートされ新しいバージョンが出たときに古くなります。新しいバージョンを使ったほうがよさそうだと思ったら、「Office365」に乗り換えましょう。

「G Suite」にやられないように? 機能やメリットを追加し続けている「Office365」

料金は、1人当たり年間1万円程度の一番安いものを使い始めるのがよいです。

https://products.office.com/ja-jp/compare-all-microsoft-office-products?tab=2

1ライセンスで5台ぐらいまで、インストールできるので、自分のパソコン、スマホ、タブレットにそれぞれ入れて使うことができます。自宅とオフィスとたくさんの台数を使う人でも、1ライセンス買えば足りるでしょう。(実はこれだけでも、パソコン付きを買うよりはお得になります。)

また、ストレージが1GBついてくるようになって、「G Suite」よりも3倍以上多くなっているので、共有ストレージや、壊れた時のバックアップに利用を検討しましょう。

メールも「Office365」でいいのでは?

「Outlookがあるね、メールもこれでいいじゃないか」

と思うのですが、メールは「Outlook」よりも「Gmail」のほうが圧倒的にオススメです。

あくまでも私の経験の範囲での判断ですが、「Outlook」は動作が遅くトラブルが出ていました。その10倍以上の人数で使っていても「Gmail」にはその手のトラブルがほとんどゼロです。ついに10億を超えた「Gmail」のユーザー数に支えられた信頼性は身近に見ることができたわけです。

TechCrunch
TechCrunch | Reporting on the business of technology, startups, venture capital funding, and Silicon Valley

「Office365」結局どれを買ったらいいのかはっきりしてくれ!(2019年1月版)

少人数のオフィスで法人であれば、こちらがおすすめです:

Microsoftの公式サイトで購入した場合、支払いは、年間契約の場合でも月払いできます(ややこしい)

公式ストア以外にも代理店がたくさんあります。なじみの販売代理店がある場合には、そこから買ってあげるとよいと思います。(価格はおそらくまったく同じでしょう。)

また、GMO経由で買うと、Microsoft公式の年間契約相当の金額で、月契約ができるそうなので、少しお得感があります。

Microsoft公式ストアで購入する場合は、Windows10にもともとついているブラウザソフト「Edge」を使って購入するようにするとよいです。(Chromeで買おうとしましたが、いろいろなところで表示の不具合が出ました。まぁ許してあげましょう。)

ほぼ同等機能で、利用メリットも拡大中の個人版:

Amazonで1年分だけ買うと、公式ストアより割安で「Business」版とほぼ同じ価格になるようです(!)が、公式ストアの価格比較では月額で100円以上の差があります。ずっと払い続けることを考えると100円の差は大きいです。

最近追加されたメリットは、インストールできるパソコンやスマホ・タブレットの台数が無限になった、です。「Business」版は1人5台までですので、1人で5台以上入れないと気が済まない場合には、Solo版を買うメリットが出ます。

どうしても所有したいヒトのための従来型ライセンス

旧製品の位置づけかと思うので、オススメはできません。

Amazonや量販店で売っている法人版は、ワンランク上で高いので間違わないよう注意

しかも、Microsoft公式ストアの金額とまったく同じですね。(月1,360円)
個人向けのSolo版とは異なり、量販店値引きのようなものがないようです。

ウィルス対策ソフトが、別途必要と信じられている理由

多くの人が、ウィルス対策ソフトを別途入れなければならないと信じています。

Windowsにはウィルス対策ソフトが最初からついている

Windowsにはずいぶん前からウィルス対策ソフトがついてくるようになっています。

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/comprehensive-security

非常に気づかいのある、ウィルス対策ソフトを売っている企業を刺激しないギリギリの言葉が選ばれています。別途ウィルス対策ソフトを入れなくてもいいよ、という意味の言葉は見つけられません。

このような記事がありました。

日本マイクロソフト サードパーティ製ウイルス対策はもう不要? 企業で最も信 頼されているWindows Defender - 週刊BCN+
Windows7以降、Windows OSに標準搭載されているマイクロソフトのセキュリティ「Windows Defender」。もともとはウイルス対策として登場したが、機能の大幅な拡充を経て、Windows10時代の今ではウイルス対策にとどまらない総合的なセキュリティソリューションとして進化した。

控えめに表現され内容が調整されている感じがするので、パブリシティとしてMicrosoftからおカネが出ている記事かもしれません。

ウィルス対策ソフトはいるんでしょうか、いらないんでしょうか、だれか答えてほしいですね。

それなら、売っているヒトに聞いてみよう

最近よく見かける製品を売っている販売会社に聞いてみました。

私は購入していないので、購入した人に、

「Windowsについているウィルス対策ソフトよりも、このウィルス対策ソフトを入れたほうがよい理由は何ですか?」

と聞いてもらったところ、明確な答えが返ってこなかったそうです。それでも買った側の人はなんとも思わないで、使い続けるのです。これが信じる力です(嘘です。)

デメリット)動作が遅くなり、生産性を下げる

ウィルス対策ソフトを入れると、多くの場合、まずパソコンの起動が劇的に遅くなります。

その他、アプリの起動や動作もだいたい遅くなり、ワンランク遅いパソコンを使っている雰囲気になってくるのです。

これは、いまに始まったことではなく、10年以上前からずっとそうでした。ただ、千人規模のオフィスでは、生産性よりもセキュリティ確保を優先して、我慢して使っていました。

Macには入っていない

MacOSの場合、ウィルス対策ソフトを入れなくても実害がない(ウィルスが少ないため)といわれているものの、企業内でセキュリティルールにウィルス対策ソフトを入れることが明文化されている場合は、入れる必要があります。

私自身も、Macには入れさせたことがあります。

入れないで問題があるのか明確に確認できない間は、買わない・インストールしないことをオススメ

ということで、入れなければならない明確な理由がなければ、少なくともWindows10ではもともとWindowsについてくるものを動かして、満足しておくことをオススメします。(あえて止める操作をしなければ動いています。)

パソコンに添付されてもともと入っているウィルス対策ソフトは、上述の通りの動作速度となったり、そのうち料金を要求したりし始めますので、私自身はアンインストールするようにしています。

当の私は、個人でウィルス対策ソフトを買ったことが一度もありません。パソコン使って30年、一度も買ったことがないです。Microsoftが用意してくれなかった時代は、フリーソフトを利用していました。高価な高性能パソコンをほいほいと買えない場合、動作が遅くなるのは死活問題でしたから・・・。

バックアップはどうするべきか→あまたあるクラウドサービスを利用

バックアップは、現在であれば、クラウドサービスに自動的に同期させることをオススメします。

上述の、「Googleドライブ」や「Office365」には、マイドキュメントフォルダやデスクトップのファイルをまるごとすべてクラウドに同期する(つまり、バックアップする)機能が用意されています。

逆に、はいはい次へ次へ、と押していると、自然にアップさせられてしまうぐらいです。

クラウドに常時同期されている状態で生産性を上げる

クラウドサービスに常時同期されている状態になると、いつパソコンが壊れても、新しいパソコンを買ってきてアカウントを設定したら、データが半自動的に戻ってきて仕事ができる状態になります。

特に、パソコンのトラブルがあったときに、ものすごい生産性が上がるのでオススメします。

少人数の場合は、個人向けに近いサービスをオススメします

ファイルをバックアップする用途に使えるサービスは、非常にたくさんあります。代表的なサービスは、「Dropbox」です。

Dropbox.com
Dropbox helps you simplify your workflow. So you can spend more time in your flow.

「Googleドライブ」や「Office365」についてくるものを使わない場合、「Dropbox」はじめ類似のサービスを検討する価値はあります。

社外の人と、ファイル共有するときにも十分な機能があります。

大企業向けに高度な管理機能がついいたものは、オススメしません。

あまりお勧めしないのは、大企業向けに、高度な管理機能がついた製品です。

大人数で使えるものは、人数を減らしても当然使えるので、大企業向けの製品が、中小企業向けにパッケージされて売られています。

製品名を上げるのは避けますが、私が実際に体験したサービスでは、1日に1回決まった時間に同期するのがデフォルトだったり、容量が大きいとバックアップを戻すのに3日かかったり、一晩かかってもダウンロードできなかったりしました。

大企業向けに、管理機能が充実しているのはわかるのですが、数人の企業に使わせるものではないと感じました。

前述したように、ファイル共有やバックアップのサービスは、有利なものが出たら、あるいは、組織の成長スピードに合わせて、どんどん変えていくのがよいです。

「セキュリティ」はどこまでやればいいのか

おそらく小さいオフィスでもれなく悩むのが、

「セキュリティ」は何をどこまでどうすればいいのかわからない、

ということだと思います。目に見えないものの代表選手です。

前述のウィルス対策ソフトもこの悩みのうちの一つですが、個人的によく見かけるのが、オフィス内・社内ネットワークに設置するタイプのセキュリティ確保商品です。一般に「UTM」と呼ばれています。

身近なところで一番よく売れていると思われるのが、この製品です。

フォーティネット(Fortinet)公式|サイバーセキュリティのグローバルリーダー
フォーティネットの公式サイトです。フォーティネットは、もっとも革新的でトップレベルのパフォーマンスを実現するネットワークセキュリティファブリックを提供し、お客様のITインフラストラクチャをシンプルにするとともに安全に保護することをミッションとしています。

特定の製品をあげるとその販売会社を非難しているような形になる可能性がありますが、これは販売会社もたくさんありそうなので、あえてURLを貼ってみました。

「UTM」としては必要十分で性能は折り紙付き、デバイスをオフィスに置いてくる形で目に見えるのでお客様に納得感があり、リモートメンテナンス可能で販売会社は手間いらず、とてもよい製品です。

私が個人的に、比較的小規模(50人程度まで)の企業をみてきて、UTMを導入すべき理由を挙げます。

導入理由1)「ウチは対策しています」と対外的に言わなければならない

これは意外と5人ぐらいの企業でもありえます。やっていますといわないと取引できない場合があります。

プライバシーマークを取得したり、ISMSの認証を取得したりするときにも、上述の通り、手間がかからず導入できるので、有用です。

導入理由2)教育が行き届かないことがわかっている

アルバイトなど短期の雇用者が多い現場はあります。

教育が行き届かない、あるいは、教育に時間をかけられないことがわかっている場合、このような製品を入れておかないと、心配でしょう。夜ぐっすり眠るために必要な製品です。

これ以外の場合、導入しないことをオススメします。

セキュリティも目に見えないため、いろいろな形で怖がらされると思いますが、めげずにがんばってください。何がどう守られるのか、どう守られないのか、を一定以上理解する知識があれば、買わなくてもよいものを買わずに済みます。

まとめ:知識の格差で収奪されないように、知識を入れよう

特定の企業の商売を邪魔する意図はないです。むしろ私自身は、その現場を見ても無下にそういう販売会社を否定したりしないように気を使っています。

いろいろな関係性があり、もちつもたれつの付き合いもあります。それがなくとも、お互いに満足していることもあります。

売っている側にも知識や選択肢がないことがあり、その企業が提供できるベストソリューションであることも多いでしょう。つまり、私には収奪していると見えても、売っている側は善意でやっていて、悪意などひとかけらもないことも多いのです。

実は、この記事を書いたきっかけは、ネット企業でもスタートアップでもなんでもなく、伝統的な超手堅い業種の、代々継承して何十年も続いている企業のお手伝いをしたときでした。その数人のオフィスのネット環境を整備させていただいたとき、ほんのちょっとつぶやく以外に何も言えず言葉を飲み込んだことは悪いことではなかったのか、いまでも時々考えます。

単に、知識が足りないだけで、本業が遅れていくのであれば、ほんの少しの知識を入れて、コスパよく、おカネと手間を節約することで、お客様にもっとたくさんのサービスをして社会に貢献してほしいと、切に願うのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました