AI、人工知能、ニューラルネットワーク~その歴史・経緯とシンギュラリティ

テクノロジー

「とても古いエアコンで、リモコンに「運転/停止(ニューロ&ファジィ)」「タイマー」「キープ」の3種類しかボタンがありません。」

「(ニューロ&ファジィ)というのは1980年代に大流行したんです」

Yahoo!知恵袋:ニューロ&ファジィとはどういう意味ですか?より引用・要約

この「ニューロ&ファジィ」の前半分、「ニューロ」は「ニューラルネットワーク」という技術が使われていることを表しています。(ファジーというのも当時流行した数学です。)

ニューラル・ネットワーク

2018年現在、つまり2010年代にブームになっているAIや人工知能は、その昔、違う名前で呼ばれていました。

参考:

人工知能・AIって、人間の脳をマネしたニューラルネットワークでできている
「20年後に、半分のヒトの仕事がなくなるらしいよ!」「なんで?!」「AIとか人工知能とか、ロボットで。」(2015年12月野村総合研究所プレスリリースより)「・・・へー、そうなんだ。」 こういう話しをすると、意外とふんわりしたリアクションが返ってくることが多いのです。10年後とか、20年後とか、半分ぐらい(正確には49%)とか、この微妙な...

それが、「ニューラルネットワーク」です。

第1次ブーム:1950年代

その歴史的経緯は、実は1950年代までさかのぼります。「ダートマス会議」が開催され、そのアウトプットとしての提案書で初めて「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉が使われるとともに、ニューラルネットワークにも触れられています。

参考:ダートマス会議 Wikipedia

この当時に流行したのは、「パーセプトロン」と呼ばれる技術です。

人間の脳の仕組み「ニューロン」をマネしてつくった数学をコンピュータに計算させれば、人間の脳と同じことができるのではないか、という発想が実現されました。しかし、迷路を解くなどは可能だったものの実用性まで開拓されることなく、ブームは過ぎ去っていきました。

第2次ブーム:1980年代

そして、1980年頃、再びニューラルネットワークがブームとなりました。「エキスパートシステム」という考え方が提示され、人間の子供に教えるかのように、とにかく質問と回答のパターンをたくさん教えていけば、人間のような受け答えができるようになるのだ、という夢に向かって研究が進められました。

この数学的な解決策として、「パーセプトロン」「バックプロパゲーション」などが発表されました。この考え方が、現在ブームとなっている「ディープラーニング」の研究につながっています。

このときの技術を応用、実用化したのが、冒頭の「ニューロ&ファジー」のニューロです。エアコンの温度調節のような、つまり、課題をものすごく限定しておけば、いい感じの答えを出してくれるようになったのです。音声認識や文字認識などの研究も進められ、一部実用化されました。

しかし、いまのAIのような汎用性を持つためには、2つの限界がありました。

1つは、数学モデルの限界です。
「パーセプトロン」などの考え方では、覚えられる量や質に限界があることがわかってきました。

もう1つは、コンピュータの性能です。
つまり、人間の脳と同じぐらいの計算をするには、コンピュータの性能が、まったく足りなかったのです。

「ムーアの法則」という言葉があります。
(※参考:ムーアの法則 Wikipedia)

とても乱暴にまとめると、「コンピュータの性能は1年半で2倍になる」という法則です。これが、1965年に出されて、2010年頃までこの状況が続いた、と言われています。

つまり、ニューラルネットワークが流行して廃れて(第1次ブーム)、もう1度流行して廃れ(第2次ブーム)そして、現在のブーム(第3次ブーム)が始まるころまで、ものすごいスピードでコンピュータの計算能力が上がっていった、ということを表しています。

第3次ブーム:2000年代

そして現在、大量の画像や、音声を一気に学習・計算させることができるようになりました。

2006年、「ニューラルネットワーク」の手法として、「ディープラーニング」が発表され、特に画像認識においてものすごくよい成果が出るようになりました。つまり、1980年前後の第2次ブームで課題となった、数学モデルの限界とコンピュータの性能限界が、両方共突破されたのです。

しかし、いまのコンピュータの性能では、人間の脳の計算能力に追いつくことは、まったくできません。意外かもしれませんが、「ニューラルネットワーク」として人間の脳と同じような計算をコンピュータにさせようと思うと、まったくもって人間の脳にかなわない、というのが現状なのです。

でも、人間の脳の性能、つまりハードウェアは、太古の昔から変わっていませんが、「ムーアの法則」に現される通り、コンピュータの性能はものすごい勢いで上がっていきます。

「いつか、追いつくんじゃない?」

誰でもそう思います。これを、レイ・カーツワイルが「シンギュラリティ(技術的特異点)」と名付けました。
(※参考:技術的特異点 Wikipedia)

ここで提示された、2045年に追いつく、という主張が広まっています。

60年以上前から、数学者や技術者たちは思い描いていました。ーーー人間の脳をマネした機械をつくり、人間と同じようにQ&Aを教えれば、人間と同じぐらいの性能、認識能力を作れるのではないかーーー夢の実現が見えてきた、ということなのです。

では、人間と同じハードウェアに人間と同じソフトウェアを入れれば、人間になるのでしょうか。

私はそうは思いません。その限界がわかるときが、2045年、ということでもあります。もうちょっと速くきてほしいですね。楽しみです。

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